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血圧とストレスと鍼灸

自分の身体の中を血液が流れているということは、だいたいの人が知っている。

 

実感はなくとも、ふとした時にちょっとしたケガをしたりして、その傷から鉄のような匂いのする赤い液体が出てくるのを見れば、自分の身体の中に「血」という液体があるということを再認識する。

 

女性は、正常に身体が働いていれば、ある一定の年数は毎月「月経」が起こるので、否が応でも身体に血液があるという現実と向き合うことになる。

 

動脈、毛細血管、静脈。大まかに分類すると、この3種類の血管が人間の身体の中に張り巡らされている。

 

大部分の血管は三層構造(外膜・中膜・内膜)になっており、中膜は平滑筋と弾性線維から構成されている。

血管の平滑筋には自律神経が分布しており、この自律神経は主に交感神経であり、かつ細動脈に分布している。
交感神経活動が亢進すると、血管平滑筋が収縮し、血流は減少。
逆に交感神経活動が低下すると、血管は拡張し血流が増加する。
これが何を表すかというと、緊張したり、ストレスを感じる状態に身を置いていると、血管の収縮により、血管抵抗が上がるため血圧が上がる。
また、血管の収縮に伴い、血流が減少するということは、言い換えれば血流が悪いということであり、身体を冷やすことになる。
東洋医学で「身体を冷やさないようにしましょう。」というのは、単に物理的に、気温の低い環境に身を置くとか、冷たい飲食物をとることで身体が冷えてしまうので、それらに気をつけましょう。ということだけではない。
例えば、鍼灸治療の一派「井上系経絡治療」の脈診で、左右の脈が沈んでいて、かつ左の脈の方が強いという「気虚寒湿」という脈の状態は、ストレス等により体表の気の流れが悪くなることに伴い、血のめぐりも悪くなり、身体が冷えたり、痛みが出たりすること等を示している。
その先には、現代医学でいう悪性腫瘍(癌)などにつながる可能性があることを、その脈診の状態は示唆している。
さて、再び血液の流れについての話に戻ろう。
心臓から拍出された血液は、血管内を圧力を持って流れている。(血圧)
左心室から出る大動脈の血圧が最も高く、末梢に移動するにつれ低くなり、大静脈でさらに低下し圧はほぼゼロになって右心房へと血液は戻る。
血圧は、心臓の拍動に伴って変動する。
心臓の収縮期に最も高くなり(最高血圧)、拡張期に最も低くなる(最低血圧)。
血圧には個人差があり、性別や年齢により異なる。
同一人物においても、精神的また身体的状態により変動する。
血圧が年齢とともに少しずつ上昇するのは、年齢に伴って動脈壁の弾性が低下し、末梢血管抵抗が高まるためである。
血圧は、心拍出量あるいは総末梢抵抗(体循環全体の血管抵抗の総和)に影響を与える因子によって変動する。
(例)
・血液量の増大
・血管収縮による血管抵抗の上昇(冷え、緊張等)
・血管抵抗の上昇をきたす血管壁の弾性の低下(動脈硬化等)
・一回拍出量の増加
・血液粘性の上昇(赤血球増加、血漿タンパク質濃度上昇、血液水分量減少)
高血圧だと心配なさる方は、うちの家族を含め多い。

しかし、血圧が高いことよりも怖いのは、いつもより極端に低かったり、逆に極端に高くなった時である。

異常を知るためには、何事もない時の状態を把握しておいた方がいい。

だから、特に痛みなどを感じていない時から、メンテナンスをしておくこと。

つまり、トラブルを未然に防ぐことが大事であり、それを推奨し続けてきたのが東洋医学なのだと思う。

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