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日本鍼灸研究会について その4

【医道の日本 第585号(平成5年5月号)1993年 より転載。】

「わが研究会紹介」<24>日本鍼灸研究会 代表 篠原孝市

(続き)

以上のことからもわかるように、本会での鍼灸研究会の基礎は、古典文献の読解にある。もちろん、これは現在多くの研究会でも行われている方法であるが、幅広くより徹底した取り組みを行うことが本会の特徴である。

その詳細は略すが、現在の研究範囲は中国の古代医学(隋唐医学までを含む)、中国の金・元・明医学(あるいは大略、宋意向の新医学)、日本江戸期の鍼灸文献である。

それらの講読を通じて、各時期の医学を考えることが現在の臨床を考える事であるような学習研究を行う。

要するに筆者らは養老孟司が言うところの「本を読んで、実施にやる」という単純至極なことをやっているだけだ。

およそ研究活動の基礎は各個人にあるが、大学、研究所等の研究施設を持たない孤立した鍼灸関係者にとって、発表と討論の場としての研究会は不可欠である。

ただ本会ではむやみに啓蒙的指導方法は採らない。

研究は独学を気奔とすべきであり、いつまでも<教える><教えられる>関係が続くことは、関係の怠慢と甘えである。

定期的に開催される例会は各自の独学に益するような方向付けのための共同研究を行う場である。ただし例会への入門・準備過程として教育・啓蒙に重点をおいた講習会は別に毎年行っている。

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