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真冬の朝の夢②

寒くなると夢を見る日が増える。
特に明け方の、気温がぐっと下がった時に夢を見がちだ。
それは、気温が下がりからだが冷えることによって、体の表面を覆う皮膚や体毛、鼻や呼吸をつかさどる「五臓」の「肺」が、温かい時に比べて消耗してしまうからだと東洋医学では考える。
皮膚というのは、人間の体の中の最大の臓器である。体の外側、表面にあるので、臓器である事を意識する人は少ないかもしれない。
東洋医学においては、肺と大腸を表裏関係と考えられている。
非常に、現実離れしているような荒唐無稽な印象を与えるかもしれない。
しかし、例えば、体調が悪いと肌の調子が悪くなるという人は多いのではないだろうか。
これは、腎と骨の関係を抽象的な概念とする東洋医学と、骨とリンと腎臓の関係が人間の健康寿命を左右するとする現代医学の見解が、現実社会において擦り寄っているかのような気にさせられる事とも似ている。
寒い日の明け方、亡くなった祖父の夢を見た。
茶碗大盛りの白ご飯を、いつものように無言でかき込んでいた時、突然茶碗が落ちた。そして大量の吐血。
熊本の病院で癌であることが判明。そのまま食道と胃袋の大部分を切除し、その後8年間の自宅療養において固形物を食べる事が出来なくなっていた祖父。腹部が圧迫されるからか、立ったまま飲食物を取っていた記憶が有る。
その祖父が、夢の中では食べ物と一緒に出てきていた。
なんとなく、良かったなと思った。
人間の本能の一つである「食」は、制限されると非常に辛いものであり、またコントロールが難しいものである。
そして「食」によって精神面も影響を受ける。
「食」の役割は体づくりだけではない。
そういえば「おやつは心の栄養」と言っていたのは誰であったか。
「元気」であることは「鈍感」であるとされる。
しかし、その鈍感さは、突然踵を返す。
心地よい当たり前の日常の風景は、突然その見え方が変わってしまう時が来る。
そういうものだと思っていれば、その時が来ても、そんなに人は慌てずにすむのかもしれない。
自分は、どんな日常を送っているだろうか?
人生は、日常の積み重ねだ。

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