壊れゆく存在
人間は、だれ一人違(たが)わずとして土に還る存在である。
そう言いのこして自らの首を切り落とす武士。
豊臣秀吉が亡くなる少し前の場面だっただろうか。
ここのところ好んで読んでいる本がある。
ずいぶん昔に新聞で連載されていたという、『徳川家康』(山岡荘八・著/講談社文庫 全26巻)である。
適当な性格ゆえ、気ままに読んでいる。
しばらく放置したり、ある日突然一気に読み進めたり。
学校の授業などでは、さらりと流れる時代説明。
名前は知っているけれども、よくは知らない。
この書籍は長いということもあってか、様々な人間模様を垣間見ることが出来る。
人間というものを知ろうと思うならば、この書籍がお勧めであると言われるのも、そのような所以なのだろうか。
余談だが、今年に入って「まない便り」という患者さんへ向けてのお便りを作成している。
6月号は、「血の道」をメインにする予定だ。
そうなると、強烈なインパクトを持っていた築山御前のことなども紹介してみたくもなる。
それはさておき、これらを読んでいると、人間というのは、ひとり勝手に妄想を大きくしていき、やがてそれを現実にしてしまうように思える。
小さな誤差が生まれ、それはどこまでもすれ違っていく。
人間とは、勝手に狂い、壊れていくものなのかもしれない。
そう思うと、様々な出来事に対する心構えが出来るような気も…するようなしないような。