【せいめいりょく(生命力)】〜変化に対応して生き延びる力。生きたいと思う力。〜
心に引っかかっている事がある。
嫌われても構わないから、言えば良かった。
「今のあなたはちょっと普通ではないから、今の生活を一旦リセットして、少し休んだ方が良い」と。
とめどなく話し続けるその振る舞いは、とても明るく好感を覚えるものの、繰り出される言葉は不安や疑念に取り憑かれていた。
そのひとは派遣社員だったそうだ。
3ヶ月毎の更新が繰り返されるうちに徐々に時給は下がり、とうとう派遣を切られてしまったという。
面と向かって価値が無いと突きつけられる。
「価値の無い自分が生かされている理由はなんだろう」
「ベランダに出て落ちたら死ねるけど、死ぬ勇気が無い」
けらけらと笑って、そう話す。
酔っ払いながら。
酔いが引いた後も、言葉は溢れ続けていた。
いわゆる躁状態だったと考えられる。
当人にとってつらいことが続くと、そのうち心は壊れてしまう。
「山の麓で車中泊をして、翌朝山に登る」と言い、去って行った。
時間が経って、その人の様子を思い返すと、少し不安を覚える。
あのひとは、ちゃんと生きていってくれるだろうか。