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【けんさん(健さん)】〜男は黙ってサッポロビール〜

【けんさん(健さん)】〜男は黙ってサッポロビール〜
 題名は知っていても、きちんと内容を観たことはない映画のひとつ「幸せの黄色いハンカチ」(1977年・山田洋次監督)を観てみた。
 例外に漏れることなく、高倉健がいい男であることを確認できる作品だった。
 物語に流されながら、「ああっ!男ってなんて勝手なの!」と一人で突っ込みながらも、それも納得済みで包み込む母性のようなものを感じられたのは、昭和という時代における「赦し」の価値観がどことなく漂っていたからだろうか。
 第二次世界大戦後の混乱期から、高度経済成長期に向かった時代は色々あったのではないかというのは、私の勝手な妄想かもしれない。
 それはさておき、私の一押しシーンは、網走刑務所から出所したばかりの健さんが瓶ビールを飲むシーンである。グラスに注がれたサッポロビールを見つめ、両手でグラスを掴み、「むしゃぶりつく」という表現がふさわしいと思える様相でビールを口にする。その所作が、刑務所の中にあった数年間の制限から解放されたという実感を確実に表現しているように見えた。
 その時私は思わず画面を指差し、口にしてしまった。「男は黙ってサッポロビールだ!」
 とりあえず、私も黙ってサッポロビールを飲もう。
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