「タラ」「レバ」はどうしたって取り戻せないもの。現状把握とこれからを考えるしかないわ。
読んでいて、身に覚えがありすぎて、本当に痛くて痛くてどうしようもなくなる読者が多いという作品である。
ちょうど30~40代の独身のままになってしまった女性に非常に共感をもたれている。
自分にとって都合が悪いが故に、見ないふりしているうちに、心の奥底に澱のように溜まってしまっているものの、どう表現したらいいか分からないでいるような代物を、とてもうまく文章として表現されている作品だと思った。
この著者はもの凄い観察眼なんだと思う。
今日、私の属する4姉妹LINEグループに、実家の跡継ぎをしてくれている妹から「今日は何の日かわかりますか?」とメッセージが入った。
私は「誰かの結婚記念日とかけ?」と上げると、祖父の命日だと答えが返ってきた。
祖父の亡くなった時期、私は家族とはある意味絶縁状態になっていて、葬儀にも帰らなかった。
普段無口だった祖父は、しゃべりながら亡くなったという。
自分がおかしな方向に進んでしまっているときに、耳が痛いことを言ってくれるのは僅かな人間だけだ。
それなのに、そこに反発をして、自分が更に追い込まれてるという事を、うすうすと感じているくせに認めることが出来ず、もっとおかしな方向へ進んでいく。
失敗を隠そうとか、もみ消そうとすること。
問題を直視せず、はぐらかしたり逃げること。
人間は弱いのでついついそうしてしまう。だけど、解決には絶対繋がらない。
そうこうしているうちに被害は雪だるま式に大きくなっていく。
起こってしまったことに泣きたくなることは沢山あるし、どうしようと思うことも多々ある。
だけど、それらは消えないし消せない。
だから、そういうことも全部まとめて飲み込んで進んでいくしかない。
失敗してはじめて学習する。同じ失敗をしないように。
状況は日々変わっていくので柔軟な対応も必要。
異様なスピードで変化する世界、維持が出来ればマシな方。
だけど維持はやがて、いやその瞬間から既に維持ではなくなる。
人は安定を求めるけれども、安定というものはじつは存在しやない。