50代のうつ。あなたは大丈夫ですか?
うちのチラシを片手に持ち、治療院の入り口に顔をこわばらせて立っていた。
この1年くらいなんとなく調子がおかしくて、気持ちが塞いで、しかし自分がどうして良いかわからず、
そういえば昔、突然腕が動かなくなったときに鍼で直して貰った経験があったから、
なんとなく鍼灸はどうだろうか?
と思ったけど、痛いのは怖いし、ここではどんなことをするんだろうか、とりあえず気になって来てみた。と。
(※ご本人の許可を得て掲載)
50代男性。建設業。
兆候は以前からあったようだが、「気のせいだろう」とだましだまし、その場をしのいできた。
高血圧とコレステロールにたいし服薬をしている。最近ジェネリックに変えてからおかしい気がする。
逆流性食道炎の治療もしている。新薬の治験を勧められ、試しているが気分が良くない。
寝付きは良いが、3時間くらいで目が覚め、それから色々と考えてしまって眠れなかったりする。夢はみたり、みなかったり。
お米が大好きだったのに一気に食欲が無くなった。お腹はとても空いているのに食べる気が起こらない。
酒を飲む機会が多かったので、いつも大便はゆるく、下すことも。
ずっと現場に入っていて、時間に追われる日々をおくっていた。
しかし一旦仕事が落ち着き、この2~3ヶ月ほどは事務所で留守番をしているような状態に。出勤して新聞を読み、ネットで好きなページを閲覧して一日が終わる。徐々に不安感に襲われるようになってきた。
頭がぐうっと重くなり、脳の中で何か液体が出てくるかのような感じがする。
若年性アルツハイマーなんじゃないか?何か病気なんじゃないか?不安になる。
かかっている内科の先生に、脳神経外科や心療内科への紹介状を書いてもらえないかと聞いてみたら、「そんなに心配しなくても大丈夫。もう少し様子をみましょう。」と言われたが、結局不安になり、診療内科へ行ってきた。
待合室で1時間半待って、チェックシートを記入して、先生と5~10分話して投薬して終わりだった。薬を色々変えながら様子をみていくことになるそうだ。
心療内科の先生に「鍼灸をうけてもいいですか?」ときいたら、「構いませんが、ちゃんと消毒はしてもらってくださいよ。」と言われた。
人は不安を恐れている。(だから安定を求める。)
それは正体がみえないから恐怖を感じるのだ。
正体がわかれば、そんなに怖い物ではない。
しかし、見えない物としっかり向き合うこと自体も、なかなか怖くて勇気の要ることだ。
その多くは、みることを避けてきた物でもあるから。
私は、一緒に、みえないものの正体をみるお手伝いをする。
背中を押す。という表現の方があっているかもしれない。