家族が亡くなった。そしてあなたは・・・。
夏のことだった。
ふらふらしながらおみえになったその方は、肩が痛むと仰った。
それから、お母様が亡くなられたというお話を伺った。
急に症状が現れ、あわてふためきながら、ずっと付き添いながら、巷で良いと言われることを手当たり次第にしたけれども、結局亡くなってしまった。
自分はこれでよかったのだろうか。
やれることをやれたのだろうか。
経済的に少し楽になるかと思ってはじめた同居が、実はストレスになり母親を苦しめたのではないだろうか。
自分を責めながら、悩みに悩んだ。苦しかった。
しかし、本当はもっと違う心配事を抱えておられた。
冬の冷たい雨の降るお庭を、一緒に並んで眺めながら、ゆっくりとお茶を飲んでいただき、お話をした。
肩の痛みという表層に現れていた症状の下には、違うものが隠れていた。
(許可を得て掲載しております。)