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傷に灸

私の祖父はがんだった。

突然の吐血からの大手術、その後8年ほどの闘病(自宅療養)生活を経て、遠くへと旅立った。
術後、大手術を祖父は頑張って耐えたのだと、執刀したらしき医師がベットに横たわる祖父の背中の大きな傷を皆に見せた。
大きな存在だと思っていた祖父が、なぜだか小さく見えてしまった事を覚えている。
自宅療養中の祖父は、しきりに湿布を貼ってくれと家族へ頼んでいた。
 当時はわからなかったが、おそらく傷跡が引き攣って気持ちが悪かったのだろう。
今だったら、お灸を据えてあげることが出来たのになぁ…などと、ふと寂しくなる。

寒い日は、そんな事を思い出したりする。

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