日本鍼灸研究会について その3
【医道の日本 第585号(平成5年5月号)1993年 より転載。】
「わが研究会紹介」<24>日本鍼灸研究会 代表 篠原孝市
(続き)
本会の会員が修得しておくべき臨床のための方法は、日本の復興伝統鍼灸の代表というべき経絡治療におく。
経絡治療については今ではその内部からさえ種々の批判が聞こえるが、
その方法の中に現在の日本社会に適合する鍼灸のあり方の一端を見ること、
またなによりも他からの借り物ではなく1940年前後に行われた伝統医学についての試行錯誤の結果による自前の大系であること、
したがってそこには過去の鍼灸に対する考察、解釈、選択の跡をうかがうことができること、
現代医学とは異なる伝統医学としての鍼灸のあり方があることなどがその理由である。
外来の整合した体系に自足するよりも、課題は多いが少なくとも自分たちの頭で考えた結果を問題としたい。
しかし、一枚岩に見える多くの研究会の実情がそうであるように、本会にも中医鍼灸等種々の傾向が雑居している。ただし、それを強いて統一するようなことはしない。
いずれにしても経絡治療にせよ中医学にせよ、それらは総て過渡的なものであり、将来ともに一点一画の訂正も許さないような完成品ではない。
なお経絡治療を中医学で補強するような事も行わない。両者は相互に補強されるべきものではなく、交流するべきものである。