その6 決定打
経絡治療をやろうと決めたものの、再び彷徨いだしてしまった。
誰に学べば、何に学べばよいのだろう・・・。
ゴルフを自己流にやってしまうのと少し似ているかもしれないが、自己流で治療を行う事は非常に恐い事だ。
しっかりした基礎がないのに上手くはなれない。
口が上手ければ何とかなる事も多いのかもしれない。現実に、多くの患者さんを掴んでいらっしゃる先生もおられるようだ。
卒業を間近に控え、ただ悶々とする私に、東京行きのお誘いをして下さった先生がいた。首藤傳明先生の甥に当たる佐藤先生だ。
この先生の一言が無ければ、現在の関西通いは存在していなかった。
東京・有明での、経絡治療学会学術大会へ参加した。そこで日本鍼灸研究会・主催である篠原孝市先生の特別講演を聴いた。
ただただ、凄いと思った。
「これくらいはやってて当然」といった、当たり前の基準が高い事は勿論、
視野の広さや、この業界への問題点の提起など、他では聴いた事が無い話ばかり。
そう、私の鍼灸に対する価値観がここで変わってしまったのだ。
何が何でも絶対に、この先生の勉強会に行きたい。
心からそう思った。